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みた映画とか

 読書に関しては読書メーターがあるので最低限の積み重ねができるのですが、映画は見れば見っぱなしになってしまう問題があるため、ここに記録していくことにする。いや映画メーターというサービスもありますよという話なんだけど、あのサイトはあんまりいけてない。私は別に読書人アイデンティティーを持っていないため、周りの人間が本についていくら語ろうが気にもとめないけれど、一応映画好き(といってシネフィルってレベルじゃねーけどさ)ではあるため、映画について何かいう時には格好をつけて気取る必要があるわけです。シェアを目的としたサイトで気取るのは怖いので、こういうブログで気取るのです。

 

 

スティング [DVD]

スティング [DVD]

 

 「百万回見れる」「傑作」との呼び声高い映画、スティングジョジョ第三部の賭けバトルエピソードの元ネタ(名前をわざと間違えて相手を怒らせるとかそういうアレ)。感想は「映画だなあ」という感じでしょうか。脚本は恐ろしく頑丈なんだけど。

 詐欺師がチームを組んで悪党から大金を巻き上げるというお話で、自分を切れ者と思ってる奴を騙す愉しみと緊張感が伝わってくるし、脚本上のどんでん返しもあって面白い。ただまあ私は一回みれば十分かなあという感じのお話ではあった。時代が1930年代なので、使用されるトリックの技術的水準が高くはなく、むしろ主人公たちはオーソドックスかつ渋い手で悪党を陥れようと頑張るので、その点で好感を持てた(ちなみに、昨今の映画は最新技術で問題解決するからけしからん。スマホとかドローンなどで何の工夫もなくオチをつけようとする映画はほんとなんなんでしょう。新しい方の『アニー』とかさ)。ただやはり全体的にキャラが多すぎる問題があったとは思う。『オーシャンズ・イレブン』みたいに、有名俳優+人種的多様性みたいなラインでキャラを立ててくれた方がわかりやすい。絵的なわかりやすさに加えて、感情移入の問題も結構ある。主人公陣営が団結する理由が「友人が殺されたから」なのだが、その友人がどんだけいいやつだったのかに関するエピソードが皆無なのでいまいちノレない。もちろん彼らが戦う理由はそれだけではなくて、詐欺師としての存在証明という筋もあって、個人的にはこっちの方が好きかなという感じ。「俺たちは詐欺師だから、殺人には詐欺でお返ししてやる」っていうセリフは好き。

 

 

  有名なやつ。実話らしい。かなり小さいころに見たので見なおした。同じ詐欺モノにしても、上であげたスティングが脚本で魅せるタイプの映画だとすれば、こちらは完全にキャラで魅せる映画だと思う。主人公もさることながら、FBIの刑事さん(トム・ハンクス)も共感を誘う。こういうクソ真面目役人系キャラが頑張ってる姿を見るのがすごく好き。追う追われるの関係が、ちょっとずつ謎の絆に変化していくのはこういうシナリオのいいところ。クリスマスの度に、詐欺師が刑事に対して「お互いぼっちだねー」みたいな電話をかけるのとかもいい。友情物語として仕上がっているので、どうしても評価があがってしまう。

 

 

炎のランナー (字幕版)
 

  ノレなかったですね。しかしなぜノレなかったのかと問わなくてはならない。

 この映画、ダブル主人公による陸上競技映画で、正直設定からしてあまりノレない。競技がマイナーなだけならいいのですが、この映画は主人公の葛藤構造も独特で、それもなんと宗教! 主人公その1、ユダヤ系の主人公は「水辺には行けても、水を飲ませてはもらえない」と潜在的差別を感じる大学生、それを跳ね返すために頑張る人。一方キリスト教ガチ勢のもう一人の主人公(その2)は、「日曜日は安息日なのでオリンピックだろうがなんだろうが走れない」みたいなことを言う人。二人が頑張ってどうにかオリンピックに出るお話。

 ノレなかった最大の理由は、主人公二人の葛藤にイマイチ共感できなかったからですかねえ。特に敬虔なキリスト教徒主人公が個人的にうけつけなかった。主人公たちの直面する障害が、レースに負けた、家族からチクチク圧力を受ける、大学からの横槍。イマイチ堕ちてない。ヒューマンドラマやりたいなら最低限心臓病だろう。あるいは足の骨折れるとかさ。そういうのを乗り越えながら頑張る姿を私は見たいのです。もっと悲惨になってくれないと。

 あとやはり宗教的敬虔さを押し出すなら、聖人描いてもしゃーないでしょという感じはある。主人公が綺麗すぎる。もっと汚せ。例えば安息日をテーマにするなら、「安息日なのにオリンピックだという理由で走ってしまった。俺はクズだ。なんたるクズだ」という葛藤を扱うべきであって、「日曜日に走れないから、委員会に頼んでオリンピックの参加種目を変更(100メートルから400メートルへ)してもらった。おかげでオリンピック出れたよ」というのは葛藤とその解決があまりに世俗的すぎるだろというか。

 あと、陸上競技者って、自分の参加する競技(100メートル)に対する強い思い入れがあるはずで、それって宗教的情熱より弱いのかよ!? みたいな話も出てきてしまう。えお前400でいいのかよ、みたいな。種目変更してでもオリンピックでたいというのはちょっと謎。つまり、安息日の原則を守るためには、主人公は自分の愛した競技を捨て、ライバルとの戦いも諦めなくてはならないのにも関わらず(100メートルから400メートルに変更した)、その点に関する葛藤が一切無い。マジすかオリンピックでますわという態度。お前ランナーとしてのアイデンティティーどこに行ったんだよという話になる。キャラクターを立てるなら、神と競技に対する愛を守るためにオリンピックそのものを辞退するしかなかったのに、そうしなかった。その辺りで一貫性が崩壊しているのが大変まずい。

 まあ実話に基いているので色々大変なのだろうが……そもそもこれ、主人公二人にする意味あったんだろうかという話もあり、消化不良。でも多分「炎の童貞」をやったら、たくさんの人からこんな感じで叩かれるんだろうなとも思うので、色々複雑。

 

 

ハンナ・アーレント [DVD]
 

  某ブログでこの映画が「リア充映画」として上げられていたので、マジかじゃあ見なきゃということで見たが、本当にリア充映画で笑った。

 アーレントが『イエルサレムのアイヒマン』を書き上げて、その後色々言われるという映画。話の筋としては二つあって、一つはアイヒマン問題をどう解釈するかという筋で、こちらは歴史哲学の話。もう一つの筋は恋愛。「アメリカ在住の知的ユダヤ人サークルの姫」(この表現は反ユダヤ的か?)アーレントがめっちゃモテるんだけど、アーレントの心はハイデガー先生のものなのです、みたいな。

 個人的には『イエルサレムのアイヒマン』の後書きで、そういやアーレントキレてたな―ということを思ったくらいですかね。正直、アイヒマン裁判(間接的にはホロコースト)という、論争と緊張の塊みたいな話題と、アーレントの恋を、映画内に同居させたのが失敗だったんじゃないかなあとは。どっちかに寄せるべきだったと思う。

 まあ一番よかったシーンは、締め切りの催促電話を受けた後、アーレントがおもむろにベッドに寝転がるシーンですかね。

 

 

 

 

 

  こういう映画好き。随所にサウスパークネタがあるので評価が高いです(当社比+400%。『チャッピー』もサウスネタがあったので好評価)。最後の決戦がお寒かったことを除けばスカッと見れる良質なコメディ。不思議ちゃんキャラが革命的に面白かった。

 

 

レスラー (字幕版)

レスラー (字幕版)

 

 

 最高の映画。ずっと見てる。『狂い咲きサンダーロード』のレスラー版。男同士の優しい関係性が描かれているという点では、狂い咲きサンダーロードをも上回るでしょう。主演も本当に良かったけど、周りのレスラーたちの優しすぎる態度、しぐさ、まなざしも完璧だった。

 

 

こっから↓は劇場で見た映画

 

 

キングスマン(字幕版)
 

  「ダサいがカッコいいに変わる瞬間」を用意することが、こうした映画では不可欠なのですが、それに関していうと、キングスマンは完全に成功している。日和ったところの無い、大変素晴らしい映画。

 以下個人的に思ったこと。

 おっさん主人公は途中で死ぬのですが、その退場の仕方が最高にかっこ良かった。ところで、なぜ彼は死ななくてはならなかった理由を考えると、やっぱり、正義の味方のスーパーパワーを(どんな理由があるにしろ)一般市民に行使したから、なのだと思う。つまりキングスマンは、スパイモノのお約束を破る映画ではあっただけではく、ヒーローモノの大原則を守る映画。でもこれ、結構「悪用」だと思う。

 普通の人間は悪いことしたいという欲求を持っている。スクリーンの中でそういう欲求を叶えてくれるのが悪役の存在である。よって魅力的な悪役を描くことがきわめて重要である。とよく言われます。ただ実際、視聴者は一方で悪役に感情移入しつつも、やっぱり正義が勝つことを期待してしまうんですよね。だから実は感情移入の軸がぶれてしまう。例えば『ダークナイト』のジョーカーはくっそカッコいい。もう濡れるほどに。ジョーカーに勝ってほしいと思う。でもこいつが勝ったらどうなっちまうんだ……みたいなそういう思いも当然ある。まあ何がいいたいかというと、視聴者の方はこういう複雑な感情(悪のことが嫌いだけど大好き)を持った存在ですよねということです。

 だから本音をいうと、視聴者はヒーローにも悪いことしてもらいたいんだと思う。ヒーローにも汚れて欲しいんです。そうすれば問題は解決する。自分の中にある悪いことをしたいという欲求を、正義のヒーローを通して発散できれば、それはもう最高なんです。でもハードなヒーローモノではそれは許されない。正義は正義、悪は悪の完全な分業体制が確立しているからです。そういう分業体制と、悪いことするヒーローを両立させる方法は何か? というと、そこで効いてくるのが制裁というルールの採用なんですよね。つまり悪いことしたヒーローは絶対に制裁を受けるという大原則があって初めて、分業体制を破壊することが許されるわけです。制裁ルールのある世界では、ヒーローは無謬でもなければ無敵でもないのですが、しかしおかげで、悪いことしてもオッケーになります(ちゃんと制裁を受けるのが条件だけど)。

 悪いことしちゃったヒーロー。これもう最高ですよね。キャラクターの深みはバカみたいに増しますよね。感情移入めっちゃやりやすくなりますよね。でもこういう展開になると、ヒーローが「僕は正義の味方なのに悪いことしちゃった」とか言い始めるんですよね。でもこれ、葛藤というか事実上の言い訳でしかない。これがマジでうざい。言い訳なぞいらない。臭いったらありゃしない。無論、葛藤は必要だが、自分のなした悪事について長々と釈明する必要は実は一切ない。悪いことするヒーローがウケるのは、視聴者が悪いこと大好きだからであって、それはもう前提というか、深掘りしちゃいけないところです。なんで悪いことしちゃったんだろう。それは面白いからです。以上。そして主人公が汚れた今、視聴者である私も、正義のヒーローも、綺麗で汚い。この状況が最高にハッピーというだけの話なのですから。

 キングスマンはこの問題に対してきわめてシンプルな解決を与えていて、そこも非常にポイントが高かった。ヒーローがトランプ信者を殺しまくり(このシーンは最高に楽しい虐殺シーンです。爽快感とはまさにあれのこと)、その直後に多少の問答を経てすぐ殺害される(制裁を受ける)。このテンポが神でしたね。この二つのイベントの間に少しでも言い訳タイムを入れていたら、映画の質は数ランク落ちていたに違いありません。

 

 

 

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  超スーパーオーソドックススパイ映画。オールドファッションという単語の頭にはつねに「good」がつくものですが、この映画はそのいい例。あえて分類すればコミカルなテイストの映画なので、大げさな演出がかろうじてお寒くなっていないのがすごいなあという。

 

 

 

  ガルパンはいいぞ! っていいたかった。だから見に行ったんです。

 やっぱり映画館だと戦場の音が大きすぎて怖い。音響がいいんだよねえという声はあるんだろうけど、逆に私はそれがダメだった。

 個人的にガルパン最良のシーンは、TV版最終話で、主人公の女の子が戦車の間をジャンプして仲間たちを助けるべく頑張るところです。あそこはすごく感動的だった。なので戦闘シーン多めの劇場版はうーんという感じですかね―。メガネの副会長が学校のために頑張るシーンはよかったかな。

 ガルパンの何がアレかというと、やはり安全性に関する説明があまりにも無い点。いや、そこツッコム所じゃないからと言われそうですが、この作品に関してはツッコムべき。なぜなら競技の安全性の問題が、主人公のアイデンティティー形成ときわめて密接に結びついているからです。安全性に関する説明が曖昧なため(車内は安全。しかし下じきにされたら? 車両から顔を出している時は? それこそ車両が水に沈んだらどうなる?)、競技で人が死ぬ危険性・リスクが謎。主人公のアイデンティティーは、この危険性・リスクに対しては真剣な態度を取るべきだ! というものなのだから、当然もっと説明があるべきだったと思う。だって、もし本当に人が死ぬ競技なら、他のやつら頭おかしいでしょという話になる。西住流の人々は死人が出ても勝利するべきという立場なのだとすれば、それはもう戦争だし。「お前が人命救助したおかげで勝てたはwww」とか言ってるカチューシャさんも変な人になってしまう。逆に、本当に死ぬリスクが無いなら、そこでムキになっちゃう主人公バカでしょ? って話で、「野球の犠牲フライは犠牲になる人がかわいそう!!」みたいなのに近くなりますよね。でも主人公のキャラは、戦術上、必要なら仲間は余裕で切り捨てる、なわけですから整合性の問題が出てきます。

 無論、ガルパンの見どころはそこじゃねー。戦車戦だ! というご意見もあると思いますし、まあそうなのでしょう。ただ私は戦車が動いてるところより、戦車が並んでるところが好きなのです。音がほんとダメなんです。個人的には、劇場版で一番よかったシーンは、アメリカ高校の輸送機の中で、窮屈そうにならんでる主人公陣営戦車の姿が映ってたカットかな。輸送機の中に兵器類が詰まってるのを見るのは好きです。